方法の錯誤における故意の個数

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◎方法の錯誤における故意の個数

 ・数故意説
   ∵@構成要件は故意の個数を問題としていないので、法定的符合説を徹
      底すると、故意の個数にこだわるべきではない。
     A科刑上一罪として処理されるので、処罰範囲が不当に拡大すること
      はない。

 ・一故意説
   ∵@殺人事件における人の生命というような極めて重大な一身専属的な
      法益については、行為者がそれを一個侵害しようと意図していた場
      合には、一個の殺人罪の故意しか認めないのが妥当である。
   (批判)
    @あまりに技巧的すぎる。


◎両説の帰結
  ・ねらった者(甲)には当たらず、傍らにいた者(乙)に命中。乙死亡。
    →数故意説:甲に対する殺人未遂・乙に対する殺人既遂(観念競)
     一故意説:乙に対する殺人既遂のみ
     具体的符合説:甲に対する殺人未遂・乙に対する過失致死

  ・ねらった者(甲)を貫通し、傍らにいた者(乙)にも命中。
   甲死亡、乙傷害。
    →数故意説:甲に対する殺人既遂・乙に対する殺人未遂
      一故意説:甲に対する殺人未遂・乙に対する過失致傷
      具体的符合説:甲に対する殺人既遂・乙に対する過失致傷

  ・ねらった者(甲)を貫通し、傍らにいた者(乙)にも命中。
   甲傷害、乙死亡。
    →数故意説:甲に対する殺人未遂・乙に対する殺人既遂
      一故意説:甲に対する過失致傷・乙に対する殺人既遂(←技巧的)
      具体的符合説:甲に対する殺人未遂・乙に対する過失致死

  ・ねらった者(甲)には当たらず、傍らにいた者(乙)に命中。乙傷害。
    →数故意説:甲に対する殺人未遂・乙に対する殺人未遂
      一故意説:甲に対する殺人未遂・乙に対する過失致傷

      

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