◎事後強盗
事後強盗罪の既遂・未遂は窃盗の成否で決す。
一.非身分犯説→承継的共同正犯の問題とする。
☆着手時期:窃盗時
(窃盗は実行行為の一部。窃盗及び暴行・脅迫全体が実行行為。)
1.結合犯説=窃盗と暴行・脅迫との結合犯と解する。
(根拠) @事後強盗罪の未遂・既遂は窃盗行為の着手の有無で決せられるから、
窃盗罪も事後強盗罪の実行行為の一部である。
(批判) @すべての窃盗行為が事後強盗未遂となってしまい妥当でない。
(帰結) @暴行から助ければ、承継的共同正犯の問題に。
→肯定すれば、事後強盗罪の共同正犯。否定すれば、暴行の共同正犯。
A事後強盗の教唆した場合、窃盗と暴行・脅迫に分解することは許され
ないため、教唆者は事後強盗罪の教唆。
2.因果的共犯論説
(帰結) @暴行罪の共同正犯。
二.身分犯説→承継的共同正犯の問題としない。
☆着手時期:暴行・脅迫時。
従って、「実行行為以前の行為主体に関する要件によって事後強盗
の既遂未遂が決まるのは妥当でない」、と批判される。
暴行・脅迫を加えなければ事後強盗未遂にすらならない
1.真正身分犯説
(根拠) @事後強盗罪は、窃盗犯人という身分があって初めて構成される犯罪で
ある。
(批判) @真正身分犯は、その身分がなければいかなる犯罪も構成しない場合を
いうはずである(窃盗犯人の身分がなくても、暴行罪・脅迫罪は成立
する。
2.不真正身分犯説
(根拠) @事後強盗罪は、窃盗犯人たる身分に基づく暴行罪・脅迫罪の加重類型
である。
(批判) @事後強盗罪を暴行・脅迫罪の加重類型とすることは、事後強盗罪が財
産犯であることと矛盾する。
←事後強盗罪は財産犯に加え身体犯の側面も併せ持っており暴行罪
と材質が部分的に重なり合うからこの批判はあたらない。
(帰結) @65条を判例:暴行の共同正犯。
A65条を団藤:事後強盗の共同正犯が成立。科刑は、暴行罪。