衆議院の解散

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◎衆議院の解散


  =衆議院議員の任期満了前に全員の議員としての身分を失わせる行為。

 ・効果: @全衆議院議員の身分の喪失       A国会の会期の終了
      B期限付きで内閣総辞職(54T、70) C参議院の閉会(54U)


 ・根拠
   (1)自律解散説
     ∵@国会は「国権の最高機関」であること。
      (批判)
         @反対議員の任期短縮は45条に反するのであるので、明文を要する。
         A「最高機関性」を強調するなら、参議院にも認められるはず。
         B69条54条は「解散される」という文言。
         C解散制度が元来立法府と行政府との間の適正な抑制均衡の確保にあるこ
          ととそぐわない。


   (2)他律解散説
    T.69条限定説  ←責任本質説と結びつきやすい。
      ∵@「内閣の助言と承認」という文言から。
     (批判)
       @解散の民主主義的意義を看過している。
       A69条は不信任案決議案可決に直面した場合の内閣のとるべき方途を
         定めたに過ぎない。

    U.非限定説 ←限定説よりも議院内閣制の民主主義的機能を重視
     ア.7条説
      ∵@7条の「内閣の助言と承認」と言う文言。
      (批判)
        @天皇の形式的な解散公示行為の対する内閣の助言と承認からは実質
          的な解散権を導き出すことはできない。

     イ.65条説
       ∵@解散権の行使は行政権。
      (批判)
        @解散権が行政権の中に当然含まれるわけではない。
        A解散という重大事項を包括規定で根拠づけるべきでない。

     ウ.制度説
       ∵@権力分立、議院内閣制という制度自体を根拠とする。
      (批判)
        @議院内閣制を採用しているが、これは解散権の所在や行使から帰結
          されることであって、その逆ではない(=循環論法)。
        A議院内閣制の本質を均衡と抑制にあるとする点自体に問題がある。
    

 ☆非限定説に立っても解散が許されるのは
  @選挙の際に直接の争点とならなかった重大問題が生じ、国民の意思を問う必要が
    ある場合。=民意の反映
  A国会の統一的な意思形成力に問題が生じ、内閣として責任ある政策形成を行えな
    いような事態が生じた場合。=民意の統合。
     に限られる。

 ☆解散が許されない場合
   @同一理由によって重ねて解散を行うこと。
   A総選挙後、特別国会が召集されるまでの間。
   B総辞職後の事務管理内閣(71)。   
 
☆解散の適否については裁判所では争いえない(判例:苫米地事件)。
   ∵統治行為論


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